SUITS日本版
正直なところ、期待はずれであり、想定通りといったところ。第1話をみたファースト一プレッション。
【概要】
アメリカ合衆国・USAネットワークで放映されている連続テレビドラマ『SUITS/スーツ』が原作で、フジテレビ制作の日本版でもアメリカ合衆国版同様に法律事務所が舞台となる。
主役の敏腕弁護士を演じるのは、2008年7月期に制作・放映された「月9」『太陽と海の教室』以来の出演となる織田裕二。その相棒役として中島裕翔が共演する。また、織田が演じる弁護士の上司役を、24年ぶりの月9ドラマ出演となる鈴木保奈美が演じる。なお、鈴木にとって織田との共演は1991年に放送された月9ドラマ『東京ラブストーリー』以来27年ぶりとなる。
(Wikipediaより)
現実感がにじみ出る日本版SUITS
本家のダイナミックなストーリーは、ニューヨークというある種”現実感”のない都市だからこそ成立している部分が大きい。だからこそ過大に不遜なハーヴィー(織田裕二)がかっこいいし、ありえない設定のマイク(中島裕翔)にも感情移入できるし、矮小でムカつくけど優秀なルイス・リット(小手伸也)におかしみを感じる。
一方で日本版は随所に我々日本人に馴染みのある風景が差し込まれ、嫌でも現実感を伴う。
主人公「鈴木大貴」が住むボロアパートは、どの街でも見かける安アパートで、視聴者に伝えたい「主人公は金がない」という設定だけではなく例えば「ダメ男」や「底辺」といった”妙にリアルな現実感”を想起させてしまい、余計な現実的イメージを付加してしまう。現実感とかけ離れた設定を楽しませるドラマからするとマイナスに作用するとしか思えない。
また、静岡の片田舎に入院するおばあちゃんは、いかにも「日本のおばあちゃん」といった体で親近感を感じこそするが、これも現実感を高めてしまう。
オールニューヨークロケぐらいの勢いで本家を徹底的に模倣するのか、日本版という独自のSUITSを作るか、正解はこのどちらかしかないように思う。(まあ予算なんかを考えれば後者しかないと思うけど)
だが、第1話を見る限り、どっちつかずであり、違和感バリバリのドラマに仕上がってしまった。つまり、舞台がニューヨークになったり、日本になったり、どっちの設定でいきたいのか視聴者を混乱させる。当然、これは原作を観ている方が比較出来てしまうわけで、その違和感は際立つ。
原作リスペクトが足を引っ張っている
原作ストーリーをなぞろうとする姿勢が足を引っ張っているのだと思う。ある種のリスペクトなのだろうが、ここは大胆に改変すべきだった。
アソシエイト面接の場面で織田裕二が面接希望者のリストに対して「ハーバードにイェールにケンブリッジ…」なんて嘆くけど、この日本でそんなシチュエーションになり得るだろうか。ここは「東大に京大に、中央の法学部か…」みたいなセリフになぜしなかったのか。
本家のファンなので、最終話までお付き合いするかもしれないが、正直かなり厳しい出来。決して信者フィルターを通すから厳しい言いようになっているわけではなく、本家のファンでなければ、1話切りしてもおかしくない出来だったと言わざるを得ない。
出演者が出演者だけに巻き返しを期待したい。